ジョニーの妹はマリン/しゃしゃり
働いた
そして一ヶ月で三十万円ためた
そのお金をおれに渡した
マリンちゃんに渡してくれと頼まれた
でも、
いちどでも、
おれはジョニーに言った
いちどでも、
ほんとうの妹の顔を見てやらなくていいのかい?
ジョニーは微笑んで、いいさ、と言った
本当の顔なんてどこにある?
俺だってそんなもの持っていやしないのさ
あいつが幸せならそれでよい
喫茶店でマリンちゃんに会って
三十万円を渡すと
なぜだかマリンちゃんは黙り込み
「……」
それでおれも黙り込み
「……」
ふたりで入っていないアイスティーのストローを
ゾロゾロっと吸い上げて
秋が過ぎ冬が過ぎ
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