未完成な旅路/海月
 
具が落ちている
届けに行くのも面倒臭いから僕のポケットに忍ばせた
別に欲しかった訳でもない
その場に忘れられてるのも気が進まなかった

ポケットには萎びた地図と水彩絵の具
自分の場所を確認する為に取り出した地図
ポロリと水彩絵の具が零れ落ちた
自分に似たその姿に心が痛んだ

返しに行かなくちゃ...

来た道を戻ること数十分が拷問の様に感じられた
気づいた時に戻れていたのならこんなに苦しまずにいられたのに
自問自答が進む歩幅の分だけ心を踏みつけた
スニーカーの汚れを自分に写りそうで怖くて怖くて
何度も足を進めるのを止めた
だけど

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