言葉旅/海月
 
最後の窓景色
それは冬だった
初雪が降っていてガラスに露が付いていた
無意識で指で文字を描く

「いってきます。」

落書き塗れのノートや塗り潰した教科書
机の上で埃を被っているのだろうか?
私が飛び出したあの日から何が変わったのだろうか?

一番高い切符が向かう場所
景色は思いの他に早く流れて
もう、私の知らない街並み

扉が開く度に知らない人が降りては乗る
一瞬だけでも同じ時を共有した
目的は違えども何処かで繋がった気がした
そうしたら、少しだけ泣けた

折れた切符が弾かれたは自分の姿によく似て
苛立ちさも起こす気になれ
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