灰色の波紋/結城 森士
真夜中の耳はアーアーという幼子の怯えたようなかすかな声を聞いていた、鼻腔にはプラスチックを焦がした時に嗅ぐような悪い気が入り込み、瞼は闇の中に二つの重なった円(或いは流れる光の川)を見つけ出していた。
わたしはふらふらと外へ出て橙色に染められた道路を歩き出した。
上から見下ろすと未だ
意識は見えない傷に
支配されていて、
じんじんと痺れる脊髄、何処かへ連れていかれてしまうようっ、と泣いている幼子の声がする(道はいつまでも真っ直ぐ伸びる)・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
電燈の下で照らされ
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