雨を待つ/北野つづみ
 
生暖かな風が吹き抜けてゆく
ようやく緑の穂をつけた
オーチャード・グラスが
ざわざわとざわめく

雨が降る

雲はまだ薄く
北の空には光が残っている
ふいに、蕗の葉が大きく翻って
声を上げる

雨が降る

恵みの雨よ、どうか
優しく降っておくれ
激しい雨足で、わたしを
打ち倒さないでおくれ

どうして
光だけでは大きく育たないのだろう
怯えながら、震えながら
祈りながら、信じながら

私もまた、雨を待っている

2006.7.20
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