「母子像」/服部 剛
 
( 青年と初老の母は、
( 寺の小さい庭へと入っていった。 


小石の砂利を敷いた庭に 
細枝と葉影は揺れて 

木作りの小屋に坐る 
首を斬(き)られた観音像 
優しい手に 
顔の半分削れた幼子を抱く 

暗い影に覆われた小屋の中 
母子像に照る
木漏れ日と葉影は揺れて 

母の胸に光る
幼子の小さい手に握られた 
蓮華の十字架 


( 青年と初老の母は、
( 寺の門を出ていった。 




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