そこからの風景/海月
 
に絶景と相場は決まっていた
いつかは都落ちにあうことになるだろう
その時に僕は生きた屍と化す
その上からの風景は更なる絶景

手首の傷を触れても
傷のない場所を触れても
感じるのは
脈打つ鼓動

首を後ろからそっと閉めてイイから
僕の願いを一つばかり叶えてくれないか?
願いは静かに夜風に流され
朝日の眩しさだけが僕の薄汚れた背中を照らす

背中を押すのは右手のナイフか
それとも左のガーゼと包帯か

幼い面影は大人の顔立ちになり
鏡には無精髭が伸びている
洗面台に並ぶのは
剃刀と薬
どちらを選んでも
欲望は満たされることなく
次の標的を虚ろな眼は探し出す

仄かに揺れる月光
夜風が吹き我に返り
僕の隣には愛しき亡骸

PS.僕も後を追うから

二つの屍の上には月が青白く光るだけ

ソコカラノフウケイハゼッケイダロウカ・・・
ボクノネガイヲカナエテクレナイカ・・・
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