そこからの風景/海月
仄かに揺れ動く月光
街頭には害虫が舞う
陽炎はその音無し踊りを繰り返す
水溜りの水面を自転車のタイヤで轢く
水が左右に避けて道を作り出す
通り過ぎた後には波紋が残るだけ
優しく殺生を繰り返す
一撃で殺めるから許せよ
僕は動物を狩り
僕は人を狩る
夕焼けの深紅がいつかの出血
漆黒の夜と深紅の昼
二つが混ざり合う
化学反応で劇薬が生まれるように
小さな手で仰いで嗅いで
ドラマみたいな死に様を描いてくれないか?
第一発見者みたいに叫ぶから
僕らは生きるのに多少の犠牲を伴う
誰かの屍の上に立つ
そこからの風景は高いほどに絶
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