から/海月
歩道の向こう側に君の影が伸びる
車は夕焼けの向こうの闇に向かう
排気ガスで視界が切断されても
その思い出の断片を繋いで君を見つけるから
人は誰もが暗闇の中を歩く
そこで出会う人が蜃気楼
遠くで揺らめき手を降る
嘘と云わず
林檎の様に赤い血を僕に下さい
鉄の味が舌を伝う
その時に生を感じれるから
猫の屍骸を横目で見る
何度も轢かれて
もはや、猫とは呼べない
ただ彼もまた生きていた
その深紅の血が白い毛を覆うから
君が好んで闇に向かうならば
僕はその場に留まる
少しでも明るい
この場所から君を見つけるから
戻る 編 削 Point(2)