頂 /
服部 剛
東の空に日が昇る早朝
工事現場の低い土山の頂に
クレーン車が一台
運転席には裸の王様が居座(いすわ)っていた
黄色と黒の縞々(しましま)の
柵に囲まれた小さい世界の頂で
地位と権力と名声は空気に溶けた
朝日が昇るにつれて
黒影となるクレーン車の運転席で
うなだれる裸の王様
停まった空(から)のシャベルの中に
本当にすくいたいものは
何?
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