空路/霜天
けれども
遠い場所へと離れていった
あの人はいつも笑っていたはずなので
それだけを支えとして立ち並ぶこの街は
寄り添うには頼りない爪先でしょうか
高い高い都会の空は見えますか
私を繰り返す証明書の中には
どれだけの私が存在しているのか
通過しているのかも分からなくなるので
認識してもらえる間は
遠い願いを繋ぎとめておこうと
行きかう人の表情を
どれだけ覚えていられるか
すれ違い、泣いていた人の数だけ
素直な言葉を探せる気がするから
いつも独り善がりな涙のせいで
この空は上手く回っていけないらしい
はみ出した部分を大事そうに抱えて
いつか何かを捨てなければならないとしたら
その日がきたら
まだ遠い私を数えて
行く空の色を考えて
いつか、遠い場所へと辿り着けたら
好きだった珈琲でとりあえず乾杯をして
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