altostratus/梔子
 
なんだか疲れてしまうのだ

徹夜明けのこの時間 月が沈み太陽が顔を出す時間

チッチッ と小鳥がさも清々しい朝を演出しているかのような錯覚に陥る自然の摂理を懐疑的に見る自分がいる

カーテンが冷ややかに光り 部屋がぼんやりと色を取り戻す

呼吸するたび煙草の湿気た臭いが鼻孔をつつく 空気の悪い部屋だ

残り6本になった煙草を一本取り出し火を着けた

ぼうっと 背中を丸めて虚空を眺め 偏頭痛を促進させる

一重と二重 父似と母似 アシンメトリーな顔つきを不満に思いつつ 煙草の煙りに顔をしかめる

カーテンを少し開けてみた ああ 今日は曇りか

灰色の綿菓子のような高層雲 私はおまえが好きだよ

おまえが美人になるのは朝だけだ その瞬間を私だけが知ってる

この手で掴めることのない君よ 私は空を飛びたいと思う


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