九月/
落合朱美
教えてほしい
あの空の青みの
ほんの隙間の翳りの中に
何を見いだし詠うというのか
たおやかに流れる川の
水底に沈む
ひとかけらの悪意を
掬って頬張った
その後の嗚咽に似た
そんな言葉しか吐けない私に
陽射しはゆるやかに角度を変えて
蜩ももう声をひそめてしまった
季節はふりむきもせずに
淡々と歩みつづける
むきだしの肩を包みこむ
何かを探して手を延べても
この指に触れるのは
気配ばかりで
私はまたひとつ
言葉をうしなう
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