自画像/安部行人
 
おれのことを尋ねられれば、
つまらぬもの、
ただの詩人と答える。


どれほどの特別なたたずまいも持ち合わせない、
ただの詩人。
ただ書くだけ。


詩は矛盾だ、
言葉が矛盾を語るためにあるから。


おれの書いた詩は
そのうち太陽の光で蒸発するだろう、
残っても1世紀。


たかが100年のこと、おれ自身より少しは
長く息をするだろうが、
それまでのこと。


だからきみにはこう頼むのだ、
読め、そして忘れよと。
永遠は必要ない。


詩が永遠であるはずがないし、
むしろ永遠を願うことが
詩をむしばむのだ。


永遠は必要ない。
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