TOKYO  〜東京〜/海月
 
東京は尖がり帽子が良く似合う
灰色のビルが地上を闇に染める
蛍光灯がなければ新聞も読むことも出来ない
一軒家に暮らす老夫妻はそう言った
彼らの声は誰の耳にも入らず
その生涯を終え気づいたのはその一年後
白骨化していて見分けが付かない
第一発見者はそんな皮肉を吐いた
煙草を吹かして夜道を歩く
頭の中では白骨が俺を嘲笑う
「イツマデモスガリツクナ」

東京は白い服が良く似合う
白ければ白いほどに色が馴染む
ニ三日も暮らせば真っ黒になるだろう
洗濯しても落ちないその色を着こなせる
もとの肌の色も思い出せない程に醜く
認められないで自殺する
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