路上の蝉/服部 剛
 
炎天下の路上に 
蝉(せみ)はひっくり返っていた 

近づいて身をかがめると 
巨人のぼくにおどろいて
目覚めた蝉は飛んでった 
僕の頭上の、遥かな空へ 

瀕死の蝉も、飛んだんだ 

不器用な日々に弱りきっていたぼくも 
明日からまた、飛んでいける 




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