東京駅 /服部 剛
 
の中心に独り立つ旅人。
透明な地図を入れた荷物を床に置き。 


( 瞳を閉じる。
( これからの長い旅路で
( 織り成される物語の旋律に
( 耳を澄ます。 


「10時04分 東京発・軽井沢行」 


特急列車がいくつものトンネルを潜(くぐ)り抜けると、
車窓の外は山麓(さんろく)の避暑地。 

澄んだ夏空の下に広がる森の裡(うち) 
緑の木々を吹き抜ける風 

揺らめく木漏れ日は、ひとすじの道の上に。 




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