淋しさの周波数80.6kHz/mamei
 

一人の夜に赤々と土気色を二時の方向に指す赤月

温水プールが街に広がる午後八時の暗闇の渦に吐き気がする

空気 まどろむ 夜だ

安心した素麺のつるっとした喉越しと
果てしなく続くテレビの中の光に 吸い込まれそうになりながら

ああ、今日は原爆が落ちた日なんだ、なんて果てしなく遠い昔の話のように、
自分とはかけ離れた全く関係ない話のように、
取るに足らない情報を集めて

面白いことないかなーなんてぼんやりして本を開いたり、映画を見ようと思ったりする

夏のこの時期になると夏の終わりを思わずにはいられず
焦燥感がうねうねと穏やかな夜の波のようにやって
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