四畳半/
海月
退く前日
僕の部屋には敷きぱなしの布団だけしかない
今夜が最後の夜となった
窓から零れる月明かりを浴びて杯を上げる
普段の見慣れないせいか酔いがすぐに来た
二日酔いの目覚めは災厄で尚且つ取り壊しで気分は憂鬱だった
顔を洗う為に蛇口を捻ったが水は出なかった
理由は分からないけど涙を流した
普段は立て付けの悪い扉は今日はすんなり開いた
ありがとう
そんな感謝の言葉が二つ聞こえた気がした
あの部屋の鍵は今も持ち歩いている
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