四畳半/海月
 
四畳半の狭いアパートで暮らして数年が経とうとしていた
脚の折れたテーブルとポンコツのテレビと敷きぱなしの布団しかない部屋
窓を開けても射し込む光は薄汚れていた
ギシギシと鈍い音が出る階段は何回も注意しても直らない
耳障りな音も聴き続ければ何も感じなくなる
誰か来ても呼び鈴はないから扉を叩かないといけない
だから、その階段は二階の住民には喜ばれている
最近その使い方をようやく覚えた

四畳半の安アパートは築数十年は経とうとしていた
外観は独特の雰囲気が醸し出している
時代の流れに取り残されて扉の立て付けが大分弱ってきた
閉まらずに思い切り引っ張って何回も取っ手が外れる
そん
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