あとづさり/便乗鴎
ひとのあいだを釣り合いながら
吊り合いながら避けながら
携帯を閉じ閉まって 時間を忘れて
遅れた言い訳の足しにするんだ
きみはきっと 僕を攻めることなんてできない
僕がきっと きみを攻めることなんかできないから
好きというのもあるし 遅れる時間も少しのことで
そして多分昨日は 明日は きみが遅れるから。
物事が巧くいかなくって
バスに乗り遅れて歩くことになっても
その徒労でもってきみは 昨日と、明日の分の遅刻以上の説得力を
持つこと出来ないよきっと
待ち合わせ場所には夜の冷たい風だけがいて
ふたりとも約束の時刻その瞬間に目を合わせられないなら
まだまだ付き合っていられるだろう
だんだん暗い深い方へ互いあとづさりしながらね
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