十年越しの想い/海月
の狭間は混沌としていて
大きな失望や些細な失敗が渦を巻き
螺旋状に連なっている
バベルの塔みたいに高く高く聳え立つ
今日を生きていたと実感する術を忘れた
寝て起きれば一日が始まる
その繰り返しを果てなく続けて
飽きることなく僕らは夢を見る
宙に手を差し出せば
貴方が手を差し伸ばしてくれる
私に付いて来て
と、引っ張られて僕は知らない丘の上にいた
車も人も何にもなくて
木々達が其処にあるだけ
其処から見える景色は
欲望の生み出した失敗作
だけど、街灯がチカチカ点滅していて
それは綺麗だった
高い場所から見たら
僕らの悩み事は小さなものかも知れない
貴方に連れて来られたこの丘で
十年越しに貴方のことを想い
詩を書きました
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