十年越しの想い/海月
 
人間とは不思議なもんさ...
舌打ちをしながら老人は街の雑踏に消えた

スケッチブックを広げて
素早く行き交う人々を描く
名もない絵描き
色彩鮮やかな水彩絵の具が
いつも傍で見守っている

駅前で自分の言葉を売る人
ストリート詩人
と、でも呼びましょうか?
その職業に名前を付けるとするのなら

ワンルームの狭い部屋
窓の外はすぐにビルが立ち込めて
空の色が何色かも忘れてしまいそうになってしまう
それも人が生きるための性なのか?
哲学好きの知人が言っていたことを思い出した
今ならその意味に素直に向き合えそう

現実と幻想の狭
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