2006年の初夢/結城 森士
知らない女の子
泣いた
知らない女の子
家にいた
僕の父親 帰ってこない
僕の叔父 家にいた
寝室を開けると
父親がウィスキー飲んでいた
叔父が笑った
女の子も笑った
500円玉は靴下に落とすと
消えたのだ
500円玉は送信されたのだ
猫が靴下をくわえて僕に渡す
僕は猫を撫でてやる
父親に言った
『時速300kmの運転は危なすぎる
部活帰りの女の子を
跳ね飛ばす現場など見たくない』
僕はさようならを告げた
寝室を開けると父親が
ウィスキーをあおっていた
叔父が笑った
女の子も笑った
親指ほどの黒い仔猫が
長靴下を玄関に運んでいく
僕は静かに部屋に入る
父親が確かな足取りで
玄関に向かって歩いていく
叔父が父親を追い掛ける
女の子は笑ってた
お前、誰だ
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