夜風/海月
 
ベランダに出て涼しい夜風を感じて
長い髪に風がすり抜けて
ふわり
と、夢の中に落とされた

目を閉じれば一番最初に君が浮かぶ
それ程に今に満足していないのかな?
会いたいと願えば願う程に
君の事を傷付けてしまう

この右腕に刻まれた
自暴自棄(リストカット)の数
何処かの馬鹿みたいに死にたいとかじゃない
と、弁解すれば正当化しているみたいで
ザラツク腕が平らを恋しく思う

「風が強いなぁ...そろそろ、部屋に戻ろう」

現実はそんなに甘くなく
君と言う存在もない

洗濯物は夜風を浴びて
パタパタと揺れている




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