ある夏の夢/
結城 森士
僕はいつからか
裸足を履くようになった
田んぼの後ろで揺らめく
蜃気楼はオフィス街の
青い結晶だった
暑い…
昨日の夢では七の地蔵が
後ろを振り向く
(赤い涎掛け)
蝶が花に止まり
(警鐘が鳴る)
雨が降って来る
赤い雨
少女は裸足で田んぼを駆けていく
揺らめく光の中で
四の案山子が手招きをする
僕はいつからか
田んぼの中で手招きをしている
それにしても
暑い…
陽炎の中に僕の家が
揺れながら 燃えている
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