盆踊りの夜 /
服部 剛
疲れ気味であった。時にとても不器用にな
ってしまう自分に、嫌気がさしていた。だが、それでも、こんな自
分でも、今夜お爺さんと過ごした盆踊りの夜のように、役に立てる
時があるのだ。もし、どんなに自分の存在が無意味に思えても、こ
の地上の何処かには、お互いを必要とする人がいるのだ。
ゆっくりと車椅子を押しながら、見上げた無数の提灯の明かりが
優しい、盆踊りの夜であった。
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