盆踊りの夜 /服部 剛
今日は職場の老人ホームの納涼祭であった。通常の業務を終えた
後の18時半に始まるので、正直勤務中は、「今日は一日、長いな
ぁ・・・」と思いながら働くのだが、いざ盆踊りが始まってしまえ
ば、暮れてゆく夜に浮かぶ無数の提灯(ちょうちん)が光り、櫓(やぐら)の上で威勢良く
鳴り響く太鼓の周囲を浴衣やハッピを着た地域の人々と職員と輪に
なって踊り、それをお年寄りの皆さんが楽しそうに眺める、子供達
が水に浮かぶヨーヨー掬いに群がる頃には、長い一日のことは不思
議と忘れてしまう。この、年に一回行われる職場の盆踊りの夜の情
景が、僕は好きである。
僕は他部署のお年寄りの
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