ながれるように/竹節一二三
 
ゆびさきから ことばが
ほろほろとながれ
わたしのゆびは
とけてしまった

たいせつなものと
ことばのなかにうまったつめ
すくいあげたくても
ゆびはもうのこらない

あらたにかたちづくられることもなく

ふいのかぜに
ことばはながれていった
ことばのないわたしは
やがてくずれ
ただつめとかみとほねが
ここにのこる

ことばはどこにものこらない
ながれるようにきえてしまう
わすれるまえに
きえてしまうまえに

わたしは
ながれてしまいたい
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