Cry For The Moon 5「添削、あるいは我が同志たるトラブルメーカーに」/佐々宝砂
 
にも師匠がいるが、詩に関してはいない。私は独学でやってきた。だがときどき不安だ。私の詩はこれでよいのだろうか、いや、詩作それ自体はまだまだなってなくて直さなきゃいけないと思うけど、詩作の方向性はこれでよいのだろうか、間違ってないだろうか。しかし問いに答えてくれる人はいない。ときどき私は、切実に詩の師匠がほしいと思う、私の個性と才能を見極めたうえで、優しく懇切丁寧に、親身になって詩を教えてくれるひとに出逢いたいと思う、でも……私はそのようなひとに出逢わなかったし、これからも出逢わないような気がする。出逢ったような気がしたときもあったけど、それは錯覚で、かくして私は、またも月がほしいと泣く、泣きわめく
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