Cry For The Moon 5「添削、あるいは我が同志たるトラブルメーカーに」/佐々宝砂
な雰囲気がイヤで俳句結社を抜けたが、結社で添削された経験は、私にとって非常に有益だった。
技術論の話がでると、私はいつも、主宰のことを思い出す。彼女(私がいた結社の主宰は女性)は、俳句技術を実践的に教えたり、俳句を添削したりすることが、本当は好きではなかったのだと思う。彼女は、ミロのヴィーナスに腕をつけることのグロテスクを、きちんと理解していたと思う。彼女は自分の俳句教授法を「促成栽培」と呼んでいた。こんな教え方、ほんとうはいけないのだ、と言っているようにきこえた。それでも彼女は「促成栽培」を続けていた。結社を存続するために有力な新人がほしいとかなんとか、裏側にも理由はいろいろあっただろうが
[次のページ]
[グループ]
戻る 編 削 Point(5)