達磨の道/服部 剛
に背後に流す。
あまりに小さい自分自身を包む空の色を、
胸に宿して。
もはや彼は、
人の上に在らず。
人の下に在らず。
足元を包む雲の上に立っていた。
知らない誰かが耕していった、
何も無い花畑の土に根を張り巡らせた
一輪の向日葵(ひまわり)が、
真っ直ぐに緑の茎を伸ばしていた。
達磨の片方の黒い瞳に、
小さい太陽の花が宿った。
よろめく彼は、背筋を伸ばし、
伸びてゆく道の先に待つ、
明日の人々の中にずんずん入ってゆく。
達磨の彼を見つめる人々の瞳に、
一輪・・・二輪・・・
無数の太陽の花が宿り始めた。
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