まことしやか/かぜきり
 



こっそりとなみだを
ぬぐう

けしてないているわけではなくて
ほおはぬれてはいないのだから
かわいたままのかぜと
われのままに
せめぎあうだけで
からからの

けれども
ぬぐう
ので
やさしげにうつろうあいまいななみだを
なくことをつぶしたあのひととともに
なみだがここにふれることは
いまからもこれよりも
ずっと
ないのだけれど

しょさはなみだを
つたっていてさ
したたるほどにうるんでいるのはこういで
うみにつづくほどに
あふれるように
たわわ

でも
ダカラ、

でも

ぬぐう
ぬぐうのかな

ふれられないよと
つげられて
いたとしても

なみだのあとが
ほんとうのことで
ないとしても
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