紺天のさやぎ/いわぼっけ
染めあがったばかりの紺幕の空に
乏しい星々の煌きを
捕らえることのできない俺の眼は
薄汚れた都会の空を呪いだす
ペテルギウスやシリウスの
絶叫のようなプロパガンダを
誰も聞こうとしていない
咎める者さえいない
子午線の闇は天球の律呂を孕む
この暗さは何なのでしょうか
この寒さは何なのでしょうか
あなたはお解かりでしょうか
氷の花束手渡され
クロム鍍金の別れのキッスが棘を生む
おおいぬシリウスの牙は彷徨う漢(おとこ)を追い立て
毒牙をなくした蛇は鎖に変わる
さそりのアンタレスが赤い目で睨みつけているのは
地に堕ちた蛇使いの笛だ
百年の過日に拾う者はいない
理想の旗は落日に変わる
真実はなべてこのようなものだと
オルグのつぶやきが白々しいが
俺は寡黙な首肯を繰り返しながら
暗い窖(あなぐら)に還って睡る
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