水茄子/iloha
苔が吐きだす一千年の時
崩れてゆく胞子嚢が
クラッシックなビールの泡を
吹いて
ぼくの肺を満たしていく
遠い
ひかり
さえぎる
巨人た
ち
あなたが得た
この深刻な自由
じわじわと沁みて
開け放たれる洗濯機からとりだした
紫のカレンダーを眺めても
詩を書け
ない
で
でで、
あの、
意味を持たない時間
意味を持たない言葉の羅列を
眺めているだけの鳥たち
水茄子をほおばりながら
ノブを回すと
水蒸気の壁が、また
人びとを分断して
全ての音がビートルズに聞こえる
午後の朝焼け
ぼくは
書いて
書いている、
けれど
まっすぐには降りていくことのできない回廊を
巡り
中世の血なまぐさい土に
いまだ顔をうずめ、
うず
めている。
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