水茄子/iloha
 
苔が吐きだす一千年の時
崩れてゆく胞子嚢が
クラッシックなビールの泡を
吹いて
ぼくの肺を満たしていく
遠い
ひかり
さえぎる
巨人た


あなたが得た
この深刻な自由
じわじわと沁みて
開け放たれる洗濯機からとりだした
紫のカレンダーを眺めても
詩を書け
ない

でで、
あの、
意味を持たない時間
意味を持たない言葉の羅列を
眺めているだけの鳥たち

水茄子をほおばりながら
ノブを回すと
水蒸気の壁が、また
人びとを分断して
全ての音がビートルズに聞こえる
午後の朝焼け

ぼくは
書いて
書いている、
けれど
まっすぐには降りていくことのできない回廊を
巡り
中世の血なまぐさい土に
いまだ顔をうずめ、
うず
めている。
戻る   Point(8)