小詩集【水没ハーモニー】/千波 一也
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一、漕ぎゆく者へ
明るいうたは明るくうたおう
明るくないうたも明るくうたおう
そうすれば
必ず
いつかどこかが壊れてゆくよ
治すというのはそういうこと
沈みのうたは沈んでうたおう
沈まぬうたも沈んでうたおう
そうすれば
必ず
浮いているかたちを知ってゆけるよ
のぞみはいつもそこからはじまる
好きなものを好きだと言えることは勇気だと思う
嫌いなものを嫌いだと言えることも
勇気だと思う
けれど
そのふたつを重ねてしまってはならない
おそらく
重ねてしまっ
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