明日へ/
服部 剛
何も書かれていない一冊の本と
表紙の上にはペンが置かれていた
( 人知れず吹く
( 風の掌(てのひら)はペンを握り
( 筋書きの無い明日の物語を綴(つづ)るだろう
胸にそっと手を当てる
弱気な男が震えている
心臓の鼓動が早まる
私は右手を固く握り
ドアの向こうの空白に
ゆっくり 足を 踏み入れる
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