レレレのレッ!/佐々宝砂
いけない。まして自分の住む地方の方言を嫌ってはいけない。方言は豊かなものだ。私の倫理感覚はそう主張する。
もひとつの理由は、言葉はだんだん変化する、変化はいたしかたない、ということ。今のところ可能を示す助動詞として「られる」と「れる」のふたつがあるが、どの言語においても文法はだんだん単純になってゆくものだそうで、日本語の可能の助動詞もやがて「れる」ひとつに統一されることは避けられないだろうという説がある。ならば、ら抜き言葉は未来の言葉なのかもしれない。避けられない未来に対してぐちゃぐちゃ文句たれるのもなんである。
そんなこんなで、私は、寛容にもら抜き言葉を許してやることにした。人間、や
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