片平と船越のあいだ/カンチェルスキス
 
い加減おれはタコ足配線から卒業したかったっていうのに。巨乳おっぱいに関しては、なんで買うのか聞かないことにしてる。あいつは自分のおっぱいの小ささを気にしてた。「別にいいんだよ、おれは」って言うんだけど。おれに気をつかって、あいつは。おれにはわかってたんだ。巨乳への憧れがあいつにこれを買わせてたんだって。痛ましいほどだ。なんていじらしいことをするんだ。
 巨乳おっぱいを自分の胸に当てて、あいつは「大きくなーれ、大きくなーれ」と心の中で(おれが察するにだぜ)つぶやいてる。
 哀切だ。後ろから羽交い絞めにしたくなった。
 隣にいって、おれはプラスティックでできたちょんまげカツラを手に取って、何気に
[次のページ]
戻る   Point(0)