渓川/杉菜 晃
 
山を吹き下ろす風が

 水面を撫でる

渓川は波立ち

 日が跳梁する

瀬音と光の乱反射


     私は川原の石に腰掛けてゐる
     振り仰ぐ嶺には
     消え残る雪が眩しい

     あなたは
     そこへ出かけたまま
     帰らない

     吹き下ろす風が
     涼しい
     しぶきがブラウスに
     顔に 手に
     降りかかる


セキレイが活気づき

 飛び回る

 めまぐるしく

水を潜り

 大気に

宙返りを打つて


     あなたは
     そこへ出か
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