雨/海月
 
灰色の空から零れ落ちる 
一つ二つと数えられないほどに 
アスファルトの上 
ビニール傘の上 
少し冷めた珈琲を一口 
苦味が口の中から浸透して 
全身に伝う 
角砂糖を二つ入れると丁度良い 
原稿用紙に思いを綴れば 
何枚も使うだろう
だが、鉛筆を持つと何も書けなくなってしまう 
空っぽのマス目が僕に話しかける 
ねぇ、どうして書かないの? 
ソファーに寝転び 
天井を見上げれば 
小さな雨漏り 
慌ててバケツを持って来て 
下におくのだけど入らない 
僕の記憶の羊水もこれなら良いのに 
好きな時に言葉に出来るから 
ふと、机(そと)に行きたくなった 
戻る 編 削 Point(3)