雨の背後に/iloha
引き出しを開けると
折り重なった時が
落ちている
ぼくはそれらを拾い上げ
整理しなおそうとしたんだ
けれども うまくいかないで
サッカーを見たりなんかしてるうち
雨足に追いこされ
濡れそぼった目玉に映る
逆光の雨
ぼくの弱さは
降り積もる空気に隠されたまんまで
雨に連れて行かれてしまうんだろうか
それとも 性差を超え
朴訥とした陶器になって
湿度を抱擁しつづけるのか
Uターンする光に照らされ
引き返す雨足が
線路を越え
灰色に濁る一陣の風
時の流れは元に戻される
一人であることは
雲をつくりだす力
見つけだされる毎日の感動が
きみの背面に投げられる
だけど 今夜の雨は早足だ
戻る 編 削 Point(15)