路上の影/
服部 剛
( 色褪せてゆく。
やがて、
アスファルトに伸びる、
切り離せない路上の影と対話する、
いつもの夜。
疲れた身は布団の中に吸い込まれ、
幸福な夢の情景が薄らぐ早朝、
陽は昇り、目覚める。
淀(よど)んだ昨日を振り払うように、
眠たげに、伸びをする。
玄関に脱ぎ捨てられていた靴を、片手で揃(そろ)える。
薄い光の滲む革靴に、踵(かかと)を入れる。
胸のリセットボタンを押して、
今日という日の扉を開く。
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