レイニーきみのことあいしてた/朽木 裕
 
淡々と青空は灰色にけぶる 
呼吸を止めたまま じっと動かずに 
生きていることを不思議に思う僕は 
よく冷えた死臭のするこの部屋で 
小さな小さな段ボールを抱えて立ち尽くすのだ 
耳を幾ら澄ませたって君の声は聞こえてこない 
それどころかこの耳は濁るばかりさ 
「レイニー きみのこと あいしてた」 
暗い部屋に段ボールをそっとおろす 
滲む視界 濁る耳 君に  
君に淡い手向けの言の葉 
「きみのこと ほんとうに あいしていたよ」 
レイニー 
だからどうか消えないで 
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