closed/霜天
 
あなたが海に沈んだ日
僕らはなんでもない一日を
なんでもない日常に組み込もうとしていたところで

ざわめく
白地図を埋めていきたかった
その上にも空はあって
雲は浮かんでいたはずなのに
それきり


それから暗唱していく
状態変化と時間経過
それ、という言葉の表面だけを
なぞるように、認識しない


あなたが海に沈んだ日
ブラウン管の向こうでは相変らず
世界が再放送されていきます
もう一度構築し直した思考が
砂嵐に混ざっていくので

そんな日だったね
呼吸をするように鮮やかに、ありふれた
そこに死んでいくのかもしれませんね
そこから死んでいくのかもしれませんね


いなくなる海が、空に滑空していく
受話器越しの波の音は穏やかな呼吸
だったので
今年の夏は
そこに泳ぎに行こうと
泳ぎに行こう、と
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