乳房〜その1/黒田康之
 

そのひしゃげた乳房の形に
闇夜がずんずんと僕らに来て
僕たちは今夜
その闇の中で眠るのだ

女の脂肪が仮構ならば
僕の
おまえの
君の何が
僕なのだと
君なのだと
いい言い切れるのだろうと
判っているから
今年一番短い闇夜を寝よう

君の乳房と
おまえのビールの匂いに
当たり前の
次の日ってやつが
どうしようもなくやってくるように
祈りながら
怯えながら
僕はすべての友人と
すべての恋人と
すべての自分のために眠る

戻る   Point(3)