雨の檻、指の檻/A道化
 




はじめに
音が濡れます


アスファルトで
ち、ち、ち、散る、無色透明の
ピエロ、混じる雨の所為で
ル、ル、ル、なんて息してしまう
感化されやすいわたしたちの情緒
その息
の、根にあるあどけなさは
危ういようで根強く、けれど
使いみちも何もない、気体


ああ、いけない。



あどけなさを
大切に
なぜるように
指で制するわたしたちを
こじ開けない認めない追求しない
指差さない
わたしたちの、指
無色透明のピエロなんて
本当は、いません
本当に、いませんそれでいい
だって、ね
恥ずかしい


だから、最後まで
音だけ濡れます


2006.6.21.
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