「空」を抱く人 /服部 剛
立ち位置を、探している。
いつまでも見つからない、
足の踏み場を。
もしくは、
消えてしまった君の幻を
抱きしめる、
世界の中心を。
人波の川が流れゆく
この街の中で、
差し出した両手を広げたまま。
この足はいつも、
アスファルトから少し浮かんでいる。
黄昏(たそがれ)の空から、
金の糸が垂れている下に結ばれ、
吊るされた贈り物の箱。
口を空け、見上げてばかりで。
( あの箱にはあの日
( 私の手をあたためてくれた
( 君の両手が入っている
天と地の間に
いつまでも浮かんでいる
両手を広げ「空(くう)」を抱く 私という人
君の後ろ姿を見送ったあの日。
茫洋(ぼうよう)と定まらぬ、
目線のまま。
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