アンダーグラウンド/霜天
東京は深くなっていく
今こうしている間にも
底なしに流れ込んでいく風に乗せて
僕らは深呼吸が出来るようになっている
そんなふうに、少しずつ思い出しながら
東京は深く、なっていく
君は回答をなくした問題集の前で立ち竦んでいる
そんな背中を
どうにか抱き留めてしまいたい、なんて
考えながら
繋がるように見せかけて
すべてはやっぱり、離れていくらしい
時間も見えない場所で、運ばれながら
どんなふうにしても、夢を見ることが出来た
行き止まりばかりの路地裏からも
いつかは脱出していく蝶々は
迷うために作られた街を
どこかで笑って許せるだろうか
すべてはやっぱり、離
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