初夏はすぐ傍まで来ているというのに・・・/海月
 
瞼を閉じその暗闇の中に輝かしい自分が其処にいる
気持ちを大切に生きていた
そんな気が今となってはするだけ

焦る気持ちは初心を更に削り落とす
自分で自分を傷付けている
その傷跡を舐めて慰める

長いコートを未だに身につけて外を歩く
行き交う人々は憐れんでいるかの様に僕を見る
穴の空いた靴からは雨水が沁みこみ
僕の微かな温度を奪い去る

馴れ合う心の奥底
別れの予感を半月に写し
僕の背中をそっと叩こうとしている

長い迷宮の様な人生
鏡の様な一本の人生
どちらを選んでみても何も変わらず
夕月夜が哀しく聳(そび)え立つだけ

この街を後にするための最終
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